溢れる涙

RIN

2009年08月25日 12:30

土日は、自宅で高校野球をテレビ観戦。

やはり8強、そして4強ともなると、どの高校も投手、守備、打撃ともに素晴らしく、どの試合も白熱した好ゲーム。

再三のピンチを切り抜く力投。

甘い球を見逃さない強打。

意表をつく巧打。

その強打、巧打をしのぐ好守。

あと1打が出ていれば!あの1球さえ無ければ!

好投、好打、好守により手に汗握る戦いになり、敗者は紙一重のところで涙をぬぐった。

特に日曜日の決勝進出をかけて戦った準決勝は見ものだった。

県岐阜商 VS 日本文理

PL、帝京と強豪を破った県岐阜商。

大量安打、大量得点で勝ち進んできた日本文理。

どちらの投手も素晴らしいピッチングで連打を許さない。

唯一の連打が5回裏無死無塁、日本文理の1番切手の3塁打、2番高橋のヒット。これで1点。

6回裏にも先頭打者が2塁打。その後、2死2塁となりヒットで生還し、2点目。

2点リードされての9回表の県岐阜商、1死からヒット。2死1塁となって代打が起死回生の2塁打。これで1点差に詰め寄る。

しかし、後続が打ち取られゲームセット。日本文理が決勝進出となった。

結局、1イニングに2本のヒットが出たのは、県岐阜商は9回のみ、日本文理は3、5、6回。

お互い少ないチャンスだったが、わずかに日本文理が打力で勝った結果となった。

続いて、準決勝第2試合

花巻東 VS 中京大中京

本来であれば最強左腕 菊池 VS 強打の中京となるはずだった。

しかし、花巻東の菊池は準々決勝で腰痛のため途中降板し、この試合もベンチスタート。

中京は準々決勝でも好投した堂林が先発。

序盤は中京の強打線を1点でしのいだが、4回につかまった。

先発吉田が先頭打者に本塁打を浴び、その後も連打で降板。

2番手猿川もヒットと死球でピンチを広げ。この時点で0対3、2死満塁の大ピンチで打者は今大会大当たりしている河合。

ここでいよいよ菊池がマウンドへ!

しかし、河合へ投じた2球目。

外角139キロのストレートをきれいにレフトへ持っていかれ、走者一掃の3塁打。これで0対6。

後続を断ち切り続く5回、先ほど本塁打の磯村を三振し仕留めたが、伊藤に本塁打を浴びわずか11球で降板し、レフトの守備へ。しかし、6回の守備にはつかず菊池の再登板はなくなった。

再び猿川がマウンドに立ち力投するも8回までに好調河合の3塁打、本塁打を含む3安打、2本塁打で4失点。

打線も好守に阻まれ、投打ともに好調の堂林に対して7回に1点奪うのが精一杯。

終わってみれば、1-11の大敗。

花巻東7安打、中京13安打(うち4本塁打と3塁打2本)

花巻東は長打力の前に屈した。

誰もが「菊池が万全だったら!」と思っただろう。それは対戦相手の中京も同じだったはず。

試合後、菊池に対して河合は「万全の菊池なら打ち取られていた。」堂林は「中途半端なバッティングをしてすまない。」と痛みに耐えて力投した菊池を讃えた。

花巻東も絶対的エース 菊池の穴をチーム一丸で埋めようとしたが、やはり菊池の存在は大きかった。

特に顕著に現れたのが、2塁にランナーを背負った場面でのヒット。

中京の長打を警戒しすぎかなり深めのシフト。そのためシングルヒットでもセカンドランナーが容易に生還。そんなシーンが何度もあった。

花巻東の守備は菊池ありき。そこが乱れればほころびがでて守りのリズムも悪くなる。

準々決勝、明豊戦でも菊池が降板してから反撃を食らった。

そして迎えた準決勝。

菊池の腰痛は予想以上に悪かった。

ブルペンでの投球練習も軽いキャッチボール。

マウンドに上がっても投げるたびに腰を押さえる。

渾身のストレートも139キロ。それを打たれ、あとは変化球に頼るしかなかった。

11球。もう限界だった。

監督をはじめ、チーム全員が改めてそれを悟ったと思う。

それでも菊池は1度だけ立った打席でもレフトの守備でも痛みを感じさせない全力プレー。

「全力プレー」これこそが、花巻東野球。

どんなに劣勢になっても笑顔を絶やさず、凡打でも全力で1塁まで走り抜ける。

菊池にとっていくら痛くてもその姿勢を崩すことは、試合を放棄するのと同じ。

菊池中心のチームだからこそ彼が戦意喪失するわけにはいかない。

試合前に投げれる体じゃないとこは、自分が一番わかっていたはずだが、そこで「ダメです。」と言えばその時点で試合が終わってしまうことも彼が一番わかっていたのだろう。

「大丈夫です!」

そう言うしかなかったのだと思う。

最終回、彼の目はすでに赤くなり、試合終了とともに涙が溢れていた。

そして、泣き崩れ仲間に支えられながら歩いていた。


最後までマウンドに立っていれなかった悔しさとともに「センバツ準優勝投手、絶対的エース、10年に1人の逸材、今大会ナンバーワン左腕」と開幕前から話題となりその重圧から解放され、色んなものが溢れ出したのだろう。その涙は試合終了後のインタビュー中も溢れ続けた。

また「悔いが残るから」と土を持ち帰らなかったのも印象的。

そして、決勝。

これまで好投を続けてきた両エースだが、連投の疲れも当然ある。それに加え互いに打線も好調。試合は予想どおりの乱打戦となった。

準決勝までの勢いそのままに中京大中京の猛打が爆発し、17安打で4対10の6点リードで迎えた最終回にドラマが待っていた。

日本文理もここまで10安打を放っていたが、6回に中京の猛攻で一挙6点を失い大きくリードを許した。

9回表、2死ランナー無し。もう本当に後が無い状態から四死球に長短打4本を絡め一挙5点と猛追した日本文理。

尚も2死1、3塁と1打でれば同点のチャンス。

打席には8番捕手の若林。初球ボール。そして2球目。真中高目にきた136キロのストレートを強振。

打球は鋭いライナー!抜ければ同点!

しかし、打球はサード正面。ゲームセット!

中京大中京が日本文理を9対10で振り切り、43年ぶりで史上最多となる7度目の優勝を飾った!(仕事でリアルタイムで見れなかったのが残念)

48校の悔し涙と1校の嬉し涙。

その中でもやはり花巻東 菊池投手の涙が一番印象的だった。

同じ東北勢として甲子園のマウンドで頂点に立てなかった日ハムのダルビッシュのようにプロの世界で活躍し日本一に輝いてほしい。(できれば日ハムで!)


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