私が釣りに行っていない間に、またしてもKGY君がサクラを釣ったとか…絶好調ですね!
ということでサクラの話は、自分が釣ってからするとして、ここで今話題となっているニジマスの話。
北海道の多くの河川で釣ることができる魚、ニジマス。
恐らく釣人や自然環境に興味のある方は、この魚が外来種であることは承知の事実だろう。
外来種とは、簡単に言うと他地域より人為的に持ち込まれた生物のこと。
ニジマスについては、国外から持ち込まれている。
ここから先は、ニジマスが外来種であることを踏まえて読んで頂きたい。
先日、ネットで色々検索しているとこんなページに辿り着いた。
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/gairai-kihonhoushin.htm
これは北海道のホームページで『この度、北海道生物多様性の保全等に関する条例に基づく、「北海道外来種対策基本方針」(素案)を取りまとめましたので、広く道民の皆様からご意見を募集します。』と書いてある。
これを見て先日の新聞記事を思い出した。
今年の1月10日に北海道新聞の記事には、「広く道民の皆様からご意見を募集します。」なんて言葉は一言もなく、これでほぼ決まったかのような内容で個人的にも概ね決まったものと思っていた。
そして、大きく書かれていたことは
『外来種「再放流」は容認』
つまり、キャッチ&リリースは認めるということ。
「再放流」を容認するということは、裏を返せば「指定外来種」に指定する前提である。
おまけに「広く道民の皆様から意見を募集します。」と言う割には、広く周知してるとは言い難い気がした。
それはさて置き、この条例について簡単に説明しますと
「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」において「特定外来生物」に指定されていない生物のうち「道内又は道内の特定の地域における生物の多様性に著しい影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがあると認めるもの」を「北海道生物の多様性の保全等に関する条例」において「指定外来種」に指定し、必要があれば防除(駆除)する。
ということ。
調べてみるとニジマスは、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」において「要注意外来生物」に指定され、世界の侵略的外来種ワースト100、日本の侵略的外来種ワースト100の双方に選定されている。
更には北海道の外来種リスト「ブルーリスト2010」に選定され、区分A1(緊急に防除対策が必要な外来種)のブラウントラウトに次ぐ区分A2(本道の生態系等へ大きな影響を及ぼしており、防除対策の必要性について検討する外来種)に分類されている。
この「指定外来種」の選定リストにニジマスも含まれていて指定を阻止すべく、パブリックコメントを送るよう呼び掛けたり、署名活動を行ったりと釣人が盛んに動きをみせているようだ。
私も釣人の一人として、この動きに賛同する!と言いたいところだが、そうではない。
つまり同じ釣人でも賛否両論ある。(先に言っておくが、私はまだ賛成とも反対とも言ってません。)
実は5年以上も前にサクラマスの記事の一部でブラウントラウトとニジマスについてこんなことを書いていた。
改めて読んでみると、「外来種問題」と「河川環境」「在来種の人工孵化放流」を同じ天秤に掛けていた点は、話のすり替えであることは反省すべきと思った。
当時は、私を含め釣り仲間が訴え続けた河川環境の改善策が思うように進まず(認めてもらえず)、腹の中が煮えくりかえっていたのだと思う。
またニジマスについては、見誤っていたようだ。
当時は、「ニジマスも外来種だが、ブラウンほど毛嫌いされていないのは、商品価値があるからではないか。」と思っていたが、2004年のブルーリストでも既に選定され、今ではブラウンに次ぎ駆除の検討対象になっている。
ただ、この商品価値については、決して間違っているとは思わない。
なぜなら、かつて食用目的で移入された経緯があり、今でも養殖されている。
食用目的での移入という経緯があり、移入時点では外魚扱いされていなかったのに、それが養殖池から逃げたり、放流で生息域を増やし、外魚扱いとなった。
移入も放流も人間都合。
でも当時は、良かれと思っての行為で生態系に及ぼす影響は考えていなかったのだろう。
身近なところでは、せたな町にある良留石川に放流したニジマスが陸封型サクラマス(抱卵ヤマメ)を駆逐したとされている。
陸封型サクラマス(抱卵ヤマメ)というのは希少な存在で、良留石川においては落差のある滝により上流と下流に分断され、サクラマスが遡上できなくなり、滝より上流のサクラマスが陸封型となり子孫を残すために抱卵するようになったのだろう。
海との往来が無いエリアで限られた生息数の中で命を繋いでいたところにニジマスが放流され駆逐された…
確かに滝より上流部に生息していた陸封型サクラマスは、ニジマスにより駆逐されたと考えるのが正しい説と私も考える。
希少な存在を駆逐した。
100%駆逐されたかどうかは分からないが、その姿を見る確率は限りなく減少したことは間違いなく、釣人の過ちだったことは確かな事実。
釣人はそれに気付き、生態系を大きく壊しかねないエリアでの放流を自粛した。(「釣人」=「全ての釣人」であることを願いたい。)
しかし、果たして問題はコレだけなのだろうか?
再び良留石川を例に挙げると、下流域においてもサクラマスの減少が著しくなっていた。
上流部のニジマスが滝から落ち下流で繁殖したからか?
多少は影響しているかもしれないが、本来、下流域は海との往来が可能でサクラマスの個体数は維持されるはず。
では何故か?
良留石川においてはダムがサクラマスの遡上を阻害していた。
魚道が設置されていても土砂の堆積で本来の機能を果たしていなかった。
当然、当時は目的があって建設されたダム。
それがサクラマスの個体を減らす原因となっていた。
現在は、スリット化され多くのサクラマス・サケの遡上が確認できるようになった。
これもまた河川環境を考える人々の「気付き」の賜物であると思う。
しかし、スリット化はまだ一つのモデル事業に過ぎない。
治山、砂防など何らかの
役割を担い建設されたダムを全てスリット化あるいは解体していいのか?
個人的な答えは「NO!」である。
今後も必要か?役割は終えたか?どう改善したら良いか?
ありとあらゆる方向から考えなければならないと思う。
結局、話のすり替えかよ!って思うかもしれないが、私が言いたいことは、在来種が減少する原因は、外来種にも河川環境にもあるのではないかということ。
このことについては、「指定外来種」にならないよう活動している釣人は承知していることだろう。
彼らのようにパブリックコメントや署名など正しい形で意見を述べる方々(心ある釣人)は、無作為な放流は自粛しているのに対し、未だに在来魚に大きな影響を及ぼす放流を繰り返している心無い人も残念ながら存在する。
当然、現段階では違法性はない。
この放流が横行する以上、法的措置をとらなければ、在来種は減少の一途を辿る。
「指定外来種」に指定すれば、放流は違法となる。
だから私は「指定外来種」に賛成します!とは言いません。
一言で「釣人」と言っても在来種への影響を十分に考慮しながら放流する人、放流は一切しない人、リリースせずキャッチ(駆除)する人など、考え方はそれぞれだ。
私自身の中でも賛否両論があり、ここ一週間考え続けた。
全ての物事に言えることだが、賛否両論あって当然で「YES」と「NO」をぶつけ合うことが大事であり、新たな発想やよりよい答えが出るものだと思います。
私の結論としては、一部の無作為な放流がある以上、規制は必要と考える。
ただし、養殖など産業としての資源でもあるので「指定外来種」という位置づけよりも別の規制を設ける。
その代わり、この基本方針で「再放流」は容認せず、より厳しいものにしてはどうか。
こんなところだろうか。
要は、ニジマスに限らず、ある程度定着が認められ、それが生業などの資源となっている場合、「指定外来種」という枠の中ではなく、個別に細かな規制を設けた方が良いと感じます。
どちらにしても「指定外来種」の選定リストに名が挙がり、こうして議論されることは決して悪いことではない。
ただ、私が一番の問題だと感じたことは、広く意見を求める姿勢が見えない情報発信であること。
私は、こうして情報をキャッチすることが出来たので、一人の釣人としてパブコメします!
どんな意見であれ、多種多様な意見により
ありとあらゆる方向から考えることができると思うので締め切りまで残り数日ですが、沢山の意見が集まることを祈ります。
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